滋之と勉は留年することなく無事に日大理工学部を卒業。
4月からそれぞれ働き始めることとなった。
滋之は入社式を終えると、すぐに地方の工場に派遣された。
仕事内容は一般の期間従業員と同じようなもので、流れ作業を朝の9時から夕方の5時頃まで。
時折残業もあった。
しかし一緒に働いてる面々を見ると、大学生やフリーター、主婦などがほとんどだった。
自分の待遇は彼らと同じ。
これって少し就職の時に聞かされていた話と違うのでは?
しかし体育会出身の滋之は、連日の流れ作業は苦にしていない。
まわりの大学生やフリーターが2、3ヶ月で辞めていく中、滋之はこの工場で1年目を終えようと
していた。
勉は大学卒業後、実家に戻っていた。
大学時代に警備アルバイトもやっていた関係で、こちらの警備会社に入ったのである。
もちろん大企業でもなく、入社式も無い。
社員の数もせいぜい数十人。
この会社に新卒で入るべきか迷ったが、自分の性格もありここでも良いと判断したのであった。
しかし働いているうちに社員たちと話していると、大学に行く必要があったのかどうか疑問が
湧いてくるようになった。
疑問を抱えながら交通警備の仕事に向かう勉。早くも1年目を終えようとしていた。